親戚関係の話題でよく取り上げられる問題のひとつ、「いとこ同士での結婚」。
お互いが血族であるがゆえに、当事者たちは何かと苦難の多い道となることでしょう。
今回はそのリスクなどについてのお話です。
法的には可能?いとこ同士の結婚
法律で禁じられているのは『三親等未満の結婚・出産』なので、
四親等に当たるいとことの結婚・出産は法的には問題ありません。
ですが、あくまでも“法的には”可能というだけです。
両親の反対、世間の人達からの偏見、様々な問題が待ち構えています。
そのなかでもとりわけ懸念されているのが、「子ども」についての問題です。
どの程度影響が出るのか?二人の子どもについて
ここからは遺伝の世界になるので、少々小難しい医学的なお話を。
身内同士だと同じ劣性遺伝子を持つ可能性が高いため、
その遺伝子が子どもに受け継がれ、先天性の病気や障がいが起こりやすい、
という理論ですが、確率が高くなるというだけの話で、
「絶対に障がいを持った子が生まれる」というわけではありません。
たとえば、4万人に1人の確率で起きる遺伝子の病気について考えてみましょう。
この病気自体が非常に珍しいものですが、
誰でも100人に1人はこの病気の遺伝子を持っています。
ひと組の夫婦が両者ともその遺伝子を持っている確率は
(1/100)×(1/100)=1/10000
さらにその夫婦からこの病気を持った子が産まれてくる確率は1/40000になります。
いとこ同士の結婚の場合は、自分がこの病気の遺伝子を持つ確率は
一般人と変わらず1/100ですが、相手が自分と同じ遺伝子を持っている確率は1/8となり、
(1/100)×(1/8)×(1/4)=1/3200
となります。
わかりやすい数字でいうと
- 1万人に1人の病気→1500人に1人
- 10万人に1人の病気→5000人に1人
- 100万人に1人の病気→1万50000人に1人
の確率で、ふたりの間の子どもに影響が出ると考えられています。
珍しい遺伝病ほどいとこ同士の両親から産まれてくることが多いそうです。
それでも確率が低いことに変わりはないのですが、
このようなリスクもあるということを理解しておくことは必要だと思います。
障害のある子との出会い・・・
筆者は学生時代、障がいのある子どもと接する機会が何度かあり、
その中でも非常に珍しい、何百万人に一人という奇病にかかった3歳の女の子に
出逢ったことがありました。
(その子のご両親がいとこ同士だったかどうかはわかりませんが。)
喉と鼻からチューブを挿し、呼吸器で呼吸をし、
ものを飲み込む筋肉の力がないために食事もチューブを通して
流動食を流し込むかたちで、お母さんはさぞ大変なのだろうと思いました。
しかしそのお母さんは「全然大変じゃないですよ。
この子が何歳まで生きられるのかもわからないけれど、それでも娘が大好きだし、
いろんな人にも助けていただいてますから」と笑顔でお話されていました。
その女の子も呼吸器のタイミングに合わせて時折声を出したり
目をキョロキョロさせたり、一生懸命「生きて」いました。
それを見て涙が止まらなくなってしまったのをよく覚えております。
危険性を考えるばかりではなくて、
困難を悲観するばかりではなくて、向き合う勇気も必要かもしれませんね。